悩ましい求人

介護保険のゆくえ

新人? ずいぶん歳食ってんじゃん

え~~、アレが〇〇十万払った人ぉー?!

大丈夫? 使えるの?

みんな目が笑ってない。針のむしろ・・・

まあ、社交辞令の笑顔の下でこんな偏見がくりひろげられるわけで・・・
そりゃまあ、新人(歳くってても!)にしたら、無言の圧力、水面下のプライド合戦、居心地のわるいこと極まりなしでしょうや。これでは入職したケマネジャーは委縮してしまいます。

「資格を持って入職するのだから、できてあたりまえ」たいまいの契約金を支払わないとなかなか人が雇えないこの時代。その代償とばかりに、胸膨らませて入職したばかりのケアマネジャーに、ついついベテランと同じレベルを求めてしまってはいないでしょうか?

ケアマネジャーが足りない

介護職の中でもとくにケアマネは何をしても集まらない。
介護業界はますます受容が高まっており、いよいよ高齢化社会のピークに突入し、一番のかなめとなるケアマネが、今まで以上に重要な役割を果たさなければならないというのに。

業界の挨拶言葉は「人来てる」「全くですね」「誰かいない」「うちもですよ」

そこで企業側はやむなく人材紹介などを利用し、大きな契約金を払って資格者を引き入れる現状があるわけです。ここ数年で派遣会社が目覚ましい発展を見せているのもそういった理由からでしょう。いまやハローワークや安価な求人広告では全く反応なしですから。

しばらく一緒に仕事をしてみないと、人となりもわからず、入社した方もその職場があっているのかどうかわからない状態での入職
常識では考えられない状況です。企業側にとっても、就職する側にとってもこんな大きなリスクはないですよね。

人員確保のための入職は人を育てない

ひと昔前は、募集をかければかなりの人数の応募があり、二次面接・三次面接と企業側がふるいにかけていた時代があったのですよ。就職後も3カ月くらいは使用期間をもうけ、お互いの仕事ぶりや気持ちを推し量ったものですが、いまや切羽詰まった状態での面接になるので人となりよりも、人員配置「1」の確保が優先となってしまいます。

だからなのか、入ったはいいけれどすぐ辞める、という構図が繰り返されています。

おそらくどこの事業所も、人数にゆとりがなくスタッフはみんな自分の仕事で手いっぱいの仕事をしているわけで、新人の育成に時間をさけるものが居ない。さらにその金額に値するべく内容を、新人ケアマネに求めてしまうのが人情でしょう。当のケアマネジャーにしてみれば「え、いきなり」「教育体制完備じゃなかったの」「みんな忙しそうで相談できない」などで、一年継続できない人を多く見かけます。
また『有能な人は、ヘッドハンティングされるから、紹介会社に残った人はダメだ』などの偏見がささやかれる原因にもなってきます。(これはなまじ噂でもなさそうですが)

ケアマネジャーがキャリアを選択しなくなった

もはや、一般的なハローワークなどでは誰も集まらない時代になってきました。おそらく資格を持っている人は山といるはずの、ケアマネジャーがキャリアを選択しないのはなぜなのでしょう?

ひとつの理由は、介護業界の労働環境の厳しさです。長時間労働や夜勤、身体的・精神的な負担が大きい仕事であるため、多くの介護支援専門員が仕事に就くことを躊躇してしまいます。また、介護業界の給与水準もまだまだ低く、やりがいを感じながら働くことに繋がらないと感じている人が多いようです。

さらに介護業界には実務経験や資格を要するために、初めて就職するには勇気がいることも理由のひとつです。それにまだ介護という仕事のイメージがネガティブにとらえらえていることも要因にあげられるでしょう。

ケアマネジャーはどこで挫折するのか

介護業界においてケアマネジャーは重要な役割を果たします。かれらは利用者のケアプランを作成し、適切なサービス提供に責任を持ち、本来なら自分の仕事にやりがいと誇りを持てるはず。

ケアマネジャーが挫折する大きな原因は、業務の多様さと多忙さ、それに伴う重責にあります。

利用者や家族の多種多様な要望や意見に対応し、ストレスやプレッシャーにさらされる場面が多い中、職場のフォロー次第では会社での挫折を感じてしまうのは容易に想像がつきます。

介護保険改正で、持ち件数の幅が広がったのは経営者にとってはプラスかもしれませんが、ケアマネジャーにとっては負担が大きくなったことを意味します。

ベテランほど困難事例を抱える比率が高く、一件担当するのに相当な時間をかけなければなりません。これで持ち件数を増やせとなると、どこかで手を抜くしかなくなります。
真面目なケアマネジャー程、上司から強制されることなく、自分のペースで丁寧にプランに取り組みたいと考えるのではないでしょうか。
行政の思惑に反して、ひとりケアマネが後を絶たないのは、それらの背景も手伝っているものと思います。

ケアマネジャーが会社に求めるもの

かれらにとって働きやすい職場を考えてみましょう。

まず労働時間や休暇制度の充実、業務負担の適正化が求められます。つまり、ケアマネジャーたちを束ね、バックフォローできる上司、あるいは専門のカウンセラーやキャリアコーチによるコーチングを受けられる環境の提供が必要です。
さらにかかせないのが給与水準の向上で、会社に求める大きな要素のひとつでしょう。

次に仕事の充実感が求められます。各ケアマネジャーのスキルが伸ばせるような、適正な仕事の配分により、かれらは利用者の笑顔や成長を見ることで、やりがいを感じることができるようになります。

会社側は常に組織のサポートを意識し、チームとしての活動を基本に、組織内のコミュニケーションや情報共有を円滑に行なう環境を整えることが大切です。

介護支援専門員が足りない現状を考えると、介護業界の課題やケアマネジャーの求めるものが見えてきます

今後も介護業界の受容は高まっており、人々が安心して高品質のケアを受けられるためには、ケアマネジャーが職場で挫折することなく、長期的に活躍できる環境が大事です。

介護業界の継続のために、行政の決定待ちではなく、企業側もみずから人材確保と、定着率の向上に取り組むことが必須課題なのです。