男性がいないと生きていけない女性

支援事例

30代の高学歴の女性を支援する機会がありました。彼女はエリートの両親に育てられ、愛情に飢えた環境で育ちました。両親は厳しくて気難しい性格のため、彼女は祖母のもとに送られることになり、その結果、彼女は依存性の強い精神疾患を発症し、精神病院での入院を経て、グループホームでの生活支援が必要となったのでした。

性依存の障がい者

彼女はみるからにはかなげで、未熟な色気を感じさせる存在でした。入院中でも異性に興味を持ち、露出度の高い服装や挑発的な行動で男性患者を引きつけ、一緒に外出することが多かったようです。

一方で、就労には全く興味がなく、自分の理想と現実のギャップに悩んでいるようでした。彼女は障がい者が一歩一歩努力を重ねて手に入れるわずかな収入や、社会で自信を持つことを軽視していました。なぜなら両親からは毎月多額の金額が振り込まれ、彼女のグループホームの自室には最新のネット配信機器や娯楽が揃っていたからかもしれません。

彼女は元々頭の良い人で、就労支援については「わかりきったことを聞いているのはつまらない。そんなことは学生時代にすべて学んできた」と発言し、常に彼女の頭の中は男性との妄想でいっぱいだったようです。

アフターピルの常用

ある日、彼女はネットで知り合った相手とデートすることになり、有頂天でした。
また、デートのことを、入所しているグループホームの仲間のだれかれに話してしまうのでした。

デートが終わり、彼女がホームに戻ってきたとき、彼女は興奮さめやらぬ表情で、どういうデートだったのかを想像することができました。

初日から関係を持ってしまったことにたいそう驚きましたが、彼女には本能と衝動に従った行動だったのでしょう。彼女には罪悪感が全くありません。聞くと事前にアフターピルを準備していたそうです。

いとも簡単に薬を手渡した医師にも憤りました。しかし、医師は彼女の病状を知っているため、大事に至る前に避妊できるよう判断したのかもしれません。
私は彼女に、性行為に至るまでの過程について精神的なことや物理的なこと、社会的なことなどの一般常識というものを説明しました。彼女は最初は驚いた表情をしていましたが、私の言葉が彼女に伝わったかどうかはわかりません。

彼女たちの理屈

彼女は「なぜ自由に恋愛できないのか」という疑問を持っていました。
彼女は成人であり、自分のお金も持っているのに、なぜ周りに気を遣わなければならないのか疑問に思っていたのです。
私はその質問に困惑しました。健常な人でも勢いや本能に任せた行動をすることはあるからです。障がいのある人に対して説教するようなことはしたくありませんでしたが、気がついたら自立について熱く話しました。しかし、彼女には何も伝わらなかったと感じています。

彼女は日常の援助を受けながら施設で生活し、社会で自立するための訓練を受けていました。つまり、精神の障害を抱えている彼女が正しい判断をすることができるのかを心配したのです。

初対面でホテルの誘いがあったにもかかわらず、彼女は抵抗しなかったそうです。
理由を聞くと、彼女は「遠くから来てくれたのに悪いから」と答えました。
彼女は自分の理屈が偏っていることに気づこうとしませんでした。

彼女には何か困難な状況が必要なのかもしれない、と思いました。
彼女は身体的には問題がなく、むしろ男性からの目を引く魅力を持っています。また、裕福な両親を持ち、お金に不自由もありません。彼女にとって何か目標に向かって頑張る必要性がなかったのでしょう。

支援には明確な答えはありませんが、障がい者の人生は高齢者の支援とは異なり、方向性が見えなくなることがあります。
その時はリセットの時間が必要です。彼女が何を求めているのかを考え、親身に話し相手になることが一番の支援方法かもしれません。
何度もなんどもそれを繰り返すうちに、答えらしいものはクライアントが自分で見つけてくるものです。それまで同じ距離感で見守り続けることが大切なのでしょう。

コメント