福岡県 あっちー
グループホームは我が家ではなかったのか
住宅型有料老人ホームからグループホームに転身した施設に、以前私が担当していた認知症の女性がいた。
グループホームに変更する際も、肝心の利用者側には情報開示が遅かったため、突然変更の印象がぬぐえず「えー、もうデイは行けないの?ケアマネが変わるのは嫌ー」など、家族にも支援者にも不信感を生み、施設離れの利用者を多く出したのだった。
私はその方の家族に、介護度も重いため特別養護老人ホームへの移転を提案したが、しっかりした娘二人は一度経営者の姿勢と考えをよく聞いてみたいとの意向を示した。
話し合いの結果、「お母さんは最後まで見ると断言され、理想郷のような話が聞けたのだが、利用者をモノ扱いにしている感じを受けた」印象のまま、せっかく本人が慣れているからとの理由で今に至った経緯のなか、その事件が起こったのだ。
ある日、娘から泣きながら電話がきた。
聞くと、母は施設から体調を崩して入院していたが、退院の見通しがつき病院からグループホームに電話を入れたところ、拒否されたというもの。
事前情報もなくいきなりの受け入れ拒否に困り果てた病院は、地域包括支援センターに相談をしたため、そちらからも連絡が入り大騒動となった。娘が怒りに声を震わせて訴えるのも無理はない。
いそぎ別の施設と連携し事情を話したところ理解を示してくれ、帰宅先がないという緊急扱いで、順番1で待機が可能になった。その間は病院から転院先をみつけてもらい、入居を待つことでひとまずホッと胸をなでおろしたのだったが・・・
思い出すだけで今も怒りが沸き上がる。
たしかに「認知症があっても介護者がいれば日常生活が営めるもの」が入所対象なのだが、今時どこのグループホームも重度化している。
また、施設側も長年住み慣れた場所で最後まで寄り添っていきたいと考え、看取りまで責任を持ってくれるところが多くなった。
この施設のように、介護が大変になったからと放り出したりしない。
まして、退院まじかになってだ。本人にしてみれば「早くうち(ホーム)に帰りたい」家族にしたら近くに入所した目的だった「また、毎日会える」と楽しみにしていた矢先にこの仕打ちとは。
グループホームは「我が家」ではなかったのか。
原因を考えたら管理者の資質に行き当たった
ひとえに人手不足なのだろう。職員が足りないから二人でするべき介護も一人ですることになり、荷重がかかりスタッフが心身を疲弊する。
スタッフにも多くの言い分があると思う。
「介護の負担が大きすぎます」といえば正当らしく聞こえるが、管理者はそのまま疑問も持たずに受け売りしたのだろうか。だとしたらあまりに管理者の資質を疑ってしまう。
もし、介護の負担が物理的なものだとしたら、その矛先は利用者ではなく、経営者に向かなくてはならないはず。
「一人にかかる介護負担が過重です。早急にスタッフを増やしてください」と経営者に言うべきだろう。経営者もまた、有料紹介から利用者を集めることばかりに経費を使うのではなく、人材紹介にお金を払ってスタッフを確保するべきだろう。
まず管理者は、今のスタッフの数で安全に介護できる利用者は何人なのかを、正確に把握しなければならない。ワンユニット9人だから9人入れないといけないでは、あまりにも管理能力がなさすぎる。
経営者から満床にしろと言われたとしても、現状を知る管理者がそこはしっかり、経営陣と戦うべきだろう。でないと利用者とその家族を迷惑に巻き込み、こんなことになる。
おそらく、病院の信頼は失くし、地域包括支援センターからも、いつ出されるかわからないグループホームには二度と紹介は出ないだろう。
それに一番怖いのは私たち支援者の情報交換である口だ。
そういうものを理解しているのだろうか。
娘二人は間違いなく、保険者の窓口に一切報告に行くはず。
「何を大事にしていかなければならないか」が見えていない事業者は、さらに自ら泥沼にはまっていく。
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